- 真言宗智山派
本尊・聖観世音
住所・千葉県館山市亀ケ原54
那古から三芳を通り、丸山・和田に抜ける県道を行くと左に曲がれば旧新御堂跡地、右に曲がれば新御堂という地点があります。
この道に佇むのが、正方四面の石塔の三面に二体ずつ立像が彫られた角柱六地蔵です。生き物が輪廻する六つの世界(六道輪廻)、天上・人界・修羅・畜生・餓鬼・地獄の入口にいて、人々を救うとされるお地蔵様。墓地や寺の入口など、あの世とこの世の境界地に建てられ、いまも人々を見守っているのです。
この六地蔵を右に曲がれば亀ヶ原八幡神社があり、その奥に現在の新御堂があります。
もともと那古と三芳をつなぐ県道の北側、青木根の中腹にあった新御堂。関東大震災で倒壊した秀満院という寺の境内に引っ越してきたのが、昭和42年(1967)のこと。
この閑静な旧秀満院境内に経つお堂に入ると、本尊である聖観世音像があたたかく出迎えてくれます。
青木根中腹に残る旧新御堂跡地には、地蔵菩薩の石像や芭蕉の句碑、灯篭などが残されています。「人も見ぬ春や鏡の裏の梅」という句碑を詠んだのは松尾芭蕉。句の中の鏡の裏、つまり鏡ケ浦は館山湾の異称。風が凪いだときには明鏡止水となり、富士山の姿を映すほどの穏やかな館山湾を表しています。
ご詠歌の「峰の松」は、文化年間(1804~1818)に旧新御堂が火災に遭うまで、お堂にかぶさるように繁っていたと伝えられています。
また「くびこい鶴」は「汲み越えつる」の意味。
「亀井戸の水」と詠われる井戸はいまでも残っており、周辺の“亀ケ原”という地名は、この井戸に由来しているとのことです。