旧三芳村の奥まった山間部の集落にある智光寺。手作りの観音提灯が出迎える仁王門から歩くこと100メートルほど。春先は菜の花が楽しめる参道を行くと、石段の上がった正面に観音堂が。右手に庫裏、左手に阿弥陀堂があります。
智光寺は、不動明王を本尊とする智光寺、千手観音を本尊とする光明寺、阿弥陀如来を本尊とする阿弥陀堂の、この3寺が江戸時代中期に合併。現在に至るとされています。
光明寺はその昔、三郡山という山中にあった寺。三郡山とは、三つの郡の境、つまり長狭郡(鴨川市)、天羽郡(富津市)、周准郡(君津市)の三郡を示したもの。その後江戸初期の元和年間に現在地に近い堀の内の観音山に再興され、元禄7年(1694)に智光寺境内へ移建されました。
千手観音を奉安する観音堂はもともと光明寺なので、ご詠歌にも「光明寺」と詠み込まれているのです。
その後、智光寺は大きな火災に見舞われます。仁王門から出た火は、参道沿いの家並みを伝い、お寺の建物をすべて燃やし尽くしました。
この時の教訓から、周辺の家々は母屋を互い違いに建てて類焼を防ぐ工夫をし、その面影は今も残っています。
その後お堂は宝暦13年(1763)に再建され、阿弥陀堂は安永4年(1775)に建築されて現在に至ります。寺宝として市指定文化財の木造不動明王立像などがあります。
仁王門と観音堂にかけられた大きな提灯は、平成21年の丑歳本開帳にむけて仁王門前のろくべえ商店のご主人が自作し、寄贈したもの。地域の人々に支えられながら鄙びた風情を醸し出している古刹です。